アトラ・ハシス

ワールドガイド

●舞台について

 舞台となる島『アトラ・ハシス』は、大きさについては現在は不明です。
 ですが、元々は現在より大きな島であることは間違いありませんでした。
 全ては、突然起こった大洪水が始まりでした。
 島からは元々他の島や大陸の姿を見ることはできず、またほとんど皆無といっていいほどに交流もなかったので伺いしれませんが、この大洪水により、島のほとんどは水の底に沈んでしまいました。


●『アトラ・ハシス』について

○気候・植生

  『アトラ・ハシス』は、亜寒帯・冷温帯に属しています。四季が存在し、冬以外は比較的すごしやすい気候といえますが、冬季を迎えると雪も降り、しっかりとした防寒が必要となります。
  洪水から残った『ア・クシャス』山とその一帯は一面に森が広がっており、特に、元々は高地だったこともあり、杉などの針葉樹林と、ブナなどの広葉樹林が混ざりあい欝蒼とした森を形成しているところが多くなっています。逆に平原、平地と呼ばれるところは少ないようです。

○ア・クシャス

  大洪水の前も今も、『アトラ・ハシス』の中心に鎮座する島で最も高い山です。ただ、絶壁巨峰というわけではなく、頂上付近以外は比較的なだらかな斜面が多くなっています。
  しかし、特筆すべきはそういった地理的なものではありません。
 『アトラ・ハシス』の部族のその全てには、この山には神が住むと伝えられてきました。『ア・クシャス』と呼ばれるこの神は、その姿はとぐろを巻いた蛇とも、龍とも言われており、また、その名が山の名にもなっている通り、山そのものであるとも言われています。
 『ア・クシャス』は人々を災いから守る神ですが、その加護はその代償なしには語られません。
 『ア・クシャス』を祀るために山には呪術師の一族が住んでいるのですが、この呪術師の一族のうち、ある年に産まれた一人の娘は、二十歳になるその日に生贄に捧げられることが決められています。不思議なことに、一族の数は少ないにもかかわらず生贄の対象となる娘『契りの娘』が産まれなかったことはないそうです。

○湖

 『ア・クシャス』の麓に広がる大きな湖です。
  冬でも凍ることのない湖で、『ア・クシャス』の息吹とも呼ばれています。湖畔には大洪水から唯一逃れた部族『湖の部族』が、生き残った他部族とともに暮らしており、飲料水源として重宝されています。


●原住民について

○部族と名前

  『アトラ・ハシス』には元々いくつかの部族がそれぞれに集落を作り存在していました。各部族は全てが良好とは言えないものの、領土という概念がないために大きな争いはありませんでした。
  しかし大洪水によって島の大半が沈み、いまでは部族と呼べるものは『湖の部族』しか存在していません。
  名前については、ほとんどの者が三音節よりなっています。最初が名前、次に一文字からなる部族・一族の名、そして苗字となっていることが多いようです。

○湖の部族

  大洪水で唯一集落が難を逃れた部族です。大洪水後は、かろうじて生き残った他部族の人々も湖の部族に合流し、人口は以前よりも増え、100世帯・500人前後の人々が住んでいます。

○文化

  基本的には狩猟が中心で、農耕はあまり行われていません。
  衣服にボタンという概念はなく、布を巻く、縛る、縫うといった手法を用いて作られた服が基本となっています。
  鍛冶・精錬技術は呪術の一種として発展しており、銅を中心に刃物は使用されています。鉄は基本的には未知というほどのもので、銀製品が貴重な品として扱われています。


●難民について

○経緯

  大洪水はこの島以外の全ての大陸・島を水の底に沈めてしまいました。
  『アトラ・ハシス』とは比較にならないほど高度な文明を気づいていた大陸の人々ですが、この洪水は全く予期されていなかったもので、何の準備もできていませんでした。
  ただ、ある港町だけは違いました。敏感に異変を察知した者の呼びかけに応え、早期の段階で女子供を優先に頑丈な船に乗せられるだけ乗せ、出航をしたのです。
  大海原をさまようこと数十日、食料が尽きかけた頃、この島を見つけた人々はこの島に降り立ちました。

○人々

  大陸の文明は発展し高度な技術を駆使した都市がいくつもありました。
  しかし島に降り立った難民たちの中にはそういった知識を持った技術者層はほぼおらず、機器を使うことはできても作成することができない状態です。
  例外は、船の運航のために同情していた船員が大工・修理に長けていることくらいでした。
  ただ農業についてはそこそこの知識を持っている者も多く、また魔法については生活に浸透していたためある程度の数の人間が使用技術を持っています。


●魔法・呪術について

○魔法・呪術とは

  この世界では、魔法・呪術は絵空事ではありません。一部の人間しか使えないという特殊な技術ではありますが、その存在は認知されています。
  『アトラ・ハシス』の原住民はこれら技術を医学と統合し、『呪術』として取り扱い、難民たちは『魔法』としてそれを体系化しているようですが、それは効果を得るためのプロセスが違うのみで、源流は同じもののようです。

○大陸では

沈んでしまった大陸では日常生活で普通に使われていました。田舎に住む民であれ、誰もが存在を認識しており、学ぶ場所も多く存在していました。
属性の判断については、魔法研究機関で検査することは可能でしたが、大陸が沈んでしまい、その検査を行える者は難民の中にはいません。
ですが、成長する過程で、自分の属性には本人自身が気付くことでしょう。
火に恐怖を感じなかったり、風の音が聞こえたり、と。誰もが自然に気付いていきます。
尚、初期シナリオに登場している難民側NPCは全員自分の属性を理解しています。

○島では

原住民については、一般的に他人の属性を知る方法は知られていません。
やはり自分の力についてのみ、物心つくころ〜十代後半までに(人それぞれ)なんとなく気づいていくようです。
また、まったくそれらに気づかない人もいます。
これは鈍感な人ということもありますが、まったく呪術に興味を持たない場合によくあるようです。
呪術の総本山とも言えるのはアトラ・ハシスの山の一族の者たち。彼らは全員が呪術師であると言われています。
また、各集落には医師を兼ねる形で数人以上の呪術師が主に口伝にて自分の技術を伝えていました。