アトラ・ハシス

第二回リアクション

『冬季新聞』

記者:麗しのピスカ

 それは、小春日和の日の出来事でした。
 その日、マール・ティアウォーターちゃんは、大人たちの目を盗んで、こっそり柵の外へ抜け出すことに成功しました。
「少しでも食べないと……死んじゃう……」
 大人の援助を頑なに拒む彼女に残された道は、探索以外考えられません。
 森は薄暗く、遠くに、響く獣の声が微かに届いていました。
「川はこっちの方のはずなんだけど……」
 マールが藪を書き分けたその時、前方の草がカサカサと揺れるではありませんか。彼女が身構える間もなく、草の間から、見たこともない大きな大きな未確認生物が現れたのです。
「モリゾォォォォ!! ドテチン!! マンモォォォ!!」
「き、きゃあああああ!!」
 訳の分からないことを叫ぶ未確認生物に、マールは慌てふためき、逃げようとしました。しかし、藪に足をとられ、転倒してしまいます。マールちゃん大ピンチ!
「マールさん!」
 悲鳴を聞いて駆けつけたのは、タウラス・ルワール様の命により見回りに出ていたフッツ君でした。
「モンガァァー! キッコロォ! ヒゲモグラーーー!!」
 先住民を見たことのあるフッツ君には、その巨大未確認生物が先住民であることを僅か数分で見極めることができました。
「み、湖付近の住民の方ですよね?」
「。・°°・(((p(≧□≦)q)))・°°・。ウワーン!! モンチッチー! メルクル〜! ピエェェェェェェーーーーーール!!!」
 確か、彼等には言葉が通じたはず。しかしこれは、何語なんだ、何を言っているんだッ!!
 フッツ君は内心激しく葛藤したといいます。
「ま、マールさん、大丈夫ですか?」
 マールは半泣き状態で座り込んでいました。
「怪我をされたのですか?」
 とりあえず、マールを助けようとするフッツ君。その様子に気付いた未確認生物は、ずさささっとマールに駆け寄り、かがみこみました。
「怪我しただか? 大丈夫だーよ。ふうふうすれば痛み消えるだよ?」
 心配そうな顔でマールの足を見つめたといいます。
「だ、大丈夫だから!」
 息を吹きかけようとるする未確認生物から足を引きずってマールは逃げました。途端、未確認生物はずーんと落ち込み、地面に人差し指で模様を書き始めたといいます。
こんな顔で。
o(ToT;):アゥアゥアゥ
「えーと、言葉分かりますよね? あなたはこちらで何をされているのですか? あなた方の住処はずっと下の方ですよね?」
「そうだーよ。カタラ、海に魚採りにきただよ」
「えっと、あなた方の住処はずっと下の方です、よ、ね?」
「そうだーよ」
「登ってこられても、海には出られないと思うのですが?」
それを聞いた未確認生物カタラさんの顔はこう。
ガ━━(゚д゚;)━━ン!!
「川の先には海があるだよ。カタラ泳いできただよ!」
「いえ、この川の河口はあなた方の住処にある湖でして。海になんて繋がっていませんよ」
ズゥゥ━━il||li (つω-`。)il||li━━ン!!
「海なら、あっち。あちらから行けるもん!」
 哀れに感じたのか、マール嬢が、東を指差しました。
(*゜▽ ゜*)
 一気に元気になった、未確認生物カタラさんは、崖に向かって走っていきましたとさ☆

*        *        *

 数時間後、レイニ・アルザラ姐様のところに、村人から相談が舞い込みました。
 なんでも、東側の崖の下から、雄叫びのような声が聞こえるとか。
 レイニ姐様は、即座に補佐のタウラス様に調査をするように、命じました。タウラス様は、崖下ということで、風魔法使いのフッツ君に調べてくるよう、命じたわけです。
 フッツ君が風をコントロールして崖下に下りてみると、そこには案の定、カタラさんがいるではありませんか。号泣しておられます。
 それもそのはず、崖の下には、海から流れ着いた遺体が、集まっていたのですから。
「ううっ、海の水は冷たいだよ……こんなトコにいつまでも居たら寒いし可哀相だよぉ〜。・°°・(((p(≧□≦)q)))・°°・。ウワーン!!」
 泣きながら、斜面の岩場に一人一人の身体を埋葬していくカタラさん……。
 その様子に、心を打たれたフッツ君は、タウラス様に事情を報告した後、カタラさんを手伝ったのです。
 埋葬しても、埋葬しても、遺体は流れてきます。時間を忘れ、二人は汗を流し、作業を続けました。
 時折、崖上に人の姿が見えました。フッツ君が登ると、崖の上には村の皆が持ち寄った花や、食べ物が置かれていました。いつの間にか、村人達が沢山集まり、泣いたり、祈ったりしてたのです。
 皆の気持ちと花、食べ物を受け取って、フッツ君はカタラさんの元に戻り、墓に花とお供え物を置きました。
 日も暮れた頃、この場所に流れ着いていた遺体全ての埋葬が終わりました。
『フサフサさんのお墓』
『トンガリさんのお墓』
『デブデブさんのお墓』
 お墓一つ一つに、流木を立て、カタラさんは名前を彫ってあげました。「木を立てるのに邪魔なので仕方がないだよー」という理由で、お供えものは全てカタラさんのお腹の中にしまわれました。
 その名前を刻む様子にしんみりしながら、フッツ君は
「コイツ、文字書けるんかッ!?」と非常に驚いたといいます。
 そして、二人は手を取り合って、崖の上に戻りました。

 一時は、機関士のおじ様を襲ったのはカタラさんではないかという噂も出ました。
 しかし、遺体に対する彼の姿勢と、オリン・ギフト大先生が犯人の身長を割り出したデータが、カタラさんとは一致しなかったため、すぐに疑いは晴れました。
 村の人々はカタラさんを暖かく迎え入れました。
 レイニ姐様は、仮面の男の事や、カタラさんの目的をお聞きしていましたが、
「カタラ、お腹空いてただよ。森に入ったら、モリゾー達、無くなってただよ!_| ̄|○|||」
「カタラ、森で昼寝してただよ。そしたら、遺体見つけただよ。パパさんママさん娘さんとか…仲の良い人たちと離れ離れになっちゃってて、可哀相だよ〜。゜゜(´□`。)°゜」
 事実と違うことを、真剣に話している様に、姐様も質問を諦めました。きっと本人も森に入った目的を忘れておられたのでしょう。
「こんばんは泊まっていくといいわ。明日の朝、川まで皆で送るわね」
 姐様はカタラさんを、役場寮に招き、皆でもてなしました。子供達もじきに懐き……いや、懐かれ、楽しい一時を過ごしました。
「……図体も子供だったら可愛いんだけど」
「純粋ですよね、彼。先住民が皆彼のように、純粋だったら……」
「嫌ッ。それは嫌! 今後の交渉を考えるだけで、頭痛いわ」
「ですよねー。はっはっはっ」
 レイニ姉様とフッツ君はカタラさんと子供達を見守りながら、素敵な会話を繰り広げていました。
 翌日、カタラさんは、タウラス様達に送られ、帰っていきました。
 村から出て行く彼の見送りに、多くの村人が集まりました。
「また来てね、カタラ!」
「今度は私も肩車してねー!」
「あ、私も、私も〜!」
 彼の背は子供達に父親を感じさせたようです。
 村の女性達も、沢山のお土産をカタラさんに渡しました。

 川でタウラス様達と別れたカタラさん。
 河口に進めば集落に着くとお話ししましたが、ちゃんと戻れたのでしょうか。
 聞くところによると、川に着くまでの間に、お土産は全て平らげてしまわれたとか。
 別れた直後。
「魚採りわすれただー!」
 という雄叫びが周囲に響いただとか。
 多分、こんな顔をされていたのでしょうね。
( ゜o゜)ハッ
!(’□’;)
Σ(TロT;) ぐわわぁぁ〜ん!



『投稿コーナー』
集合住宅で暮していた頃は、もう少し連帯感というのがあったと思うんです。
今はなんか、寂しくて……。生活の糧を得ることも、一人じゃ大変なんです。先も何も見えなくて、どうしたらいいのかわかりません……。
(70代女性:孤独人さん)

村には若い女性が沢山いるのに、若い男性が少なすぎる。いくら子供を産むのが女性とはいえ、これでは出産率が低下する一方。だから、一夫多妻制を取り入れるしかないと思うんだよねー。
レイニちゃんに提案にいったら、「却下!」と追い返されちゃったんだけど、皆はどう思う?
(60代男性:まだまだ現役☆さん)

毎日のように近所のお婆ちゃんが訪ねてきたり、居座ったりされるのが迷惑で困っています。長い愚痴聞かされて、仕事が出来ないと自分の生活費も稼げません。人に援助するほどの食料も時間もないんです。どうしたらいいでしょうか。
(40代母親:まゆまゆのお母さんさん)

子供の寮のように、老人の家を設けたらいいんじゃないかって話しが出ているそうだけれど、できれば一戸建てで生活していたいです。
無理やり押し込められるのは、勘弁して欲しいです。集団生活は精神的負担も大きいですし、息苦しいです。うちはなんとかやっていっていますが、生活が苦しい老人は沢山います。
若い人たちにお願い。自分の生活を守ることばかり考えないで、余裕がある分を援助に回してくれませんか?
(60代女性:若い人助けて!さん)

子供の将来が不安です。満足な食事も与えられず、一緒にいてあげることもできなくて……。貯蓄もないのに、税金を納めろといわれても困ってしまいます。
寮に入れて、同じ年頃の子供と暮させた方が子供のためになるのでしょうか?
(30代母親:その日暮らしさん)

※皆様の投稿、返信お待ちしております。


『今月のアンケート結果』
抱かれたい男NO.1
シャオ・フェイティン(ダントツ!)
次点:タウラス・ルワール

彼氏にしたい男NO.1
タウラス・ルワール(ダントツ!)
次点:オリン・ギフト

結婚したい男NO.1
オリン・ギフト
次点:タウラス・ルワール(僅差)

息子にしたい男NO.1
アルファード・セドリック
次点:タウラス・ルワール

ペットにしたい男NO.1
カタラ・ナ・イスハーク
次点:船長

【総合】Getしたい男NO.1
タウラス・ルワール
次点:オリン・ギフト


『お知らせ』
ただいま、警備隊、隊員を大大大募集しています。
興味のある方は、ピスカまでご連絡お願いいたしまーす☆