アトラ・ハシス

第五回リアクション

『魔法の薬』

川岸満里亜

「あああ、リィムさんって、可愛くて優しくて働き者で、なんて素敵な女性なんでしょう〜っ」
 鉱石を持ち帰ったリィムを、両手を広げてホラロが迎え入れる。抱きつかれる前に、しゃがんでかわす。
「別に、ホラロさんの為に頑張ったわけではありませんから。この鉱石で間違いありませんよね?」
「ええ、純度も最高ですね。しかし、大きい。これだけあれば、色々作れそうですよねー」
 リィムから鉱石を受け取り、慎重に実験台に運び眺め回す。
 リィムはしゃがんだまま、起き上がれない。鉱石探しに、毎日の栽培ハウスへの魔力提供で、かなり疲労していた。
「魔法薬の研究も進められそうで嬉しいですよーーーーー」
「魔法薬って何ですか?」
 聞いたことはある。一般に出回っている薬より、強力な効果を持った薬で、資産家にしか手に入れることの出来ない秘薬だとか。リィムにはその程度の知識しかない。
「魔力に作用して、身体に影響を及ぼす薬ですねー。普通の薬の効果を高めたようなものですよ〜。習練経験、才能、能力に関わらず効果があります。それでも稀にいる、全く魔力の無い方には影響を及ぼしませんけれどね。私はですね、どーしても開発したい魔法薬があるんですよー。でも、魔法鉱石は滅多に手に入らず、入っても国の所有物でしたからね、自分の研究を進めることができなくて、無念でした」
「どんな薬を作りたいんですか?」
 ホラロは鉱石を撫でながら、ふふふ、と笑っている。
 ……キモイ。
「若返りの薬です。ふふふ、この村にも、10歳ほど若返らせたい人がいましてねぇ。燃えますねー!」
「若返りの薬ですか。そんな薬が出来たら凄いですね……。みんな欲しがりそう。ホラロさんは自分にではなく、他人に使いたいのですか?」
「ええ、そうですよ、リィムさん」
「へぇ……」
「楽しみですねぇ」
「はぁ……」
 ホラロの目が異様な光を放ち、リィムを見ている。
 ま・さ・か、10歳若返らせたい人って!
「頑張りますよー! 10年前のリィムさんを手に入れるために!」
「が、頑張らなくていいです……っ」
 ああ、これからは、飲食物に気をつけないと……。
 疲れてそれ以上言葉を出す気力がないリィムを見ながら、ホラロは笑った。
「ははは、冗談ですよー。リィムさんに飲ませたりしませんよ。細胞を若返らせることは出来たとしても、成長した肉体を退化させることはできませんからねぇ。それが可能なら、是非ともリィムさんには、飲んでいただきたいんですけれどねぇ」
 凄く惜しそうに、ホラロが言う。
 リィムは力ない笑みで返す。
「相当疲れてるようですねー。では、頑張ったご褒美をあげましょう〜」
「ご褒美、ですか?」
「体力回復の魔法薬ですよ。数日あれば作れますので、リィムさんにさしあげますねー。体力を回復させて、バンバン働いてくださいね〜。私のために!」
「…………」
 確認をしてみると、この魔法薬、魔力増幅装置での魔法防衛後の疲労回復には使えないらしい。魔力の負荷で消耗した身体を魔力で回復を促すことは出来ないとのことだ。また、他の魔法薬との併用は不可能であり、服用しすぎると、中毒になる危険性があるらしい。

※このリアクションは以下のPCに発行されています。
リィム・フェスタス

※マスターより
体力回復薬(魔法薬)3回分を入手しました。サブアクションで使用と書けば、状態の「疲労」が解消し、通常行動ができます。譲渡も可能です。