鈴鹿高丸
一度は納得したものの。
ラルバの様子は、回復が進むにつれて、日々焦りが募っていくようだった。
それは、毎日姉を手伝ってラルバの看護をしているマユラには一目瞭然である。
一日、一日と過ぎても状況が変わる様子はない。
言葉の端々にもそれが見て取れる。
今は全面的に味方になってくれそうだとは言え、あの見た目のセイルがまとわりついていることもある。抑止力としては、周りに対してもラルバ自信に対しても十分すぎるほどだ。
そうしている間にも冬は訪れ――リハビリを兼ねて行っている散歩の間にも、雪もちらほらと舞い始めた。
「雪は……かなり積もるのか?」
隣を歩くリエラに声がかかる。
「かなり、がどのくらいか分からないけど……それほどは積もらないですね。あ、ただ……難民さんたちの集落がどこにあるかは分からないのですが、あまり積もらないのは湖の側だけで、少し高いところへ行くとかなり積もるのかも……やっぱり、ご心配ですか? 妹さんたちのこと」
雪の心配も、島で初めての冬を迎えるであろう妹たちのことを気にしてだった。
吹く風もまた身を切るように冷たいが、そんなラルバの言葉も、リエラたちの心に突き刺さるようだ。
しばし空を見上げるラルバ。
そして三人を振り返ると、こう告げた。
「診療所に戻ったら、話がある――聞いてくれ」
半刻後。
診療所に戻った三人は、ラルバと正対する形でそれぞれに座り、言葉を待った。
そしてラルバはゆっくりと話を始める。
「――集落を出たらいけない。それは分かる。分かるんだ。状況はだいたい聞いたし。疑いが晴れるまでは、下手なことはしないほうがいいってことも。だけどな――疑いが晴れることなんて、このままじゃ期待できない。なら――疑いを晴らすために、自分も何か手伝いがしたい……そう、例えば……俺が襲われたところ、そこへいって調べてみれば、何か思い出せるかも、手がかりが見つかるかもしれないじゃないか。集落の外へ出るなっていうのは破ってしまうが……このままじゃらちがあかない。協力、してくれないか?」
声は大きくはない。
だが、その悲痛な響きは、三人の心に強く響いた。
どうするべき――だろうか。
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リエラ・ナ・スウラ
セイル・ラ・フォーリー
マユラ・ナ・スウラ